群発頭痛
群発頭痛について
群発頭痛は、「人生最悪の頭痛」と称されるほどの激しい痛みが片側の目の奥やその周囲に起こる稀な頭痛です。数週間から数ヵ月間、連日痛みが続く「群発期」が特徴で、日常生活に大きな支障をきたすため、早期の診断と治療が重要です。
群発頭痛の原因は完全に解明されていませんが、脳の視床下部の機能異常や、体内時計の乱れが関係していると考えられています。体内時計が乱れることで、目の奥の血管に異常が生じ、頭痛が引き起こされるとされています。また、自律神経が分布する血管周囲の異常も関係していると考えられています。
群発頭痛は一次性頭痛に分類され、片頭痛や緊張型頭痛と並ぶ3大慢性頭痛の一つです。片頭痛が若い女性に多いのに対し、群発頭痛は20代後半から40代くらいの男性に多く見られます(女性の3~7倍)。約1,000人に1人が罹患すると言われています。
群発頭痛の症状について
群発頭痛の発作は、片側の目の奥や眼球を中心とした激しい痛みで、まれに側頭部や下あご、歯に広がることもあります。一度発症すると、その回の痛みは必ず同じ側にだけ起こります。
痛みの特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- 激しい目の奥の痛み: 片側の目の奥がえぐられるような激痛で、連日のように繰り返します。
- 随伴症状: 痛みが起こる側の顔面や目、鼻に特異な症状を伴うことが多いです。
- 涙が出る
- 目の充血
- 鼻水、鼻づまり
- まぶたのむくみ、まぶたの垂れ下がり(眼瞼下垂)
- 額や顔面の発汗
- 瞳孔が小さくなる
- 発作の時間帯と持続時間: 明け方や深夜など睡眠に関わる時間帯に痛みが起こりやすく、睡眠時間がずれると発作の時間もずれることが多いです。痛みは毎日ほぼ同じ時間に始まり、短い場合は数十分、長い場合は3時間程度続くことがあります。
- 行動パターン: 片頭痛の患者さんが暗い場所で静かにしていたくなるのに対し、群発頭痛の患者さんは痛みのためにじっとしていられず、動き回りたくなる傾向があります。あまりにも強烈な痛みのため、絶叫したり転げまわるほどの苦痛を感じる人もいます。
- 周期性・季節性: 1~2ヶ月の間、毎日のように頭痛が生じる群発期があります。この頭痛には季節性があり、春先や秋口などの季節の変わり目に見られる傾向があり、一度治まっても季節が変わる頃に再発することもあります。
このような症状がある場合は医療機関を受診しましょう。
- 「人生最悪」と感じるほどの激しい頭痛がある場合
- 片側の目の奥の痛みに加えて、目の充血、涙、鼻水、鼻づまりなどの症状を伴う場合
- 頭痛が毎日ほぼ同じ時間帯に起こり、数週間以上続く場合
- 市販薬が全く効かない激しい頭痛がある場合
- 痛みが激しすぎてじっとしていられない、転げまわるほどの苦痛を感じる場合
群発頭痛の診断と検査について
群発頭痛は症状に特徴があるため、診断は主に問診によって行われます。一過性で重度の頭痛が15分から3時間程度続き、目の充血、鼻水、鼻づまり、発汗、落ち着きがないといった症状を伴い、これらの発作に周期性がある場合に群発性頭痛と診断されます。
当院では、患者様の症状の原因を正確に把握し、迅速かつ適切な治療方針を決定するために、以下の検査体制を整えています。重度の頭痛は脳卒中などの他の深刻な脳疾患によっても引き起こされる可能性があるため、他の脳疾患ではないことを確認することもあります。特に、脳神経内科の専門医による診察とMRI検査による精密な診断が可能です。
- CT検査: X線で脳の断面を撮影します。脳出血の発見に特に有効です。頭のケガの確認にも使います。
- レントゲン検査: X線で主に骨の状態を見ます。しびれの原因となる首の骨などを確認することもあります。
- エコー検査(超音波検査): 超音波を使い、首の血管(動脈硬化など)の状態を調べることがあります。
- 心電図検査: 心臓の電気的な活動を記録します。脳梗塞の原因となる不整脈などを見つけるためにも行います。
- 脳波検査(EEG): 頭に電極をつけ、脳の電気的な活動を記録します。てんかん等の診断に役立ちます。
- 神経伝導速度検査(NCS)、筋電図(EMG): 神経の伝わる速さや筋肉の動きを調べます。手足のしびれや力の入りにくさの原因を探ります。
※当クリニックではこちらの検査はできないので提携医療機関を紹介させていただきます。
群発頭痛の治療法について
群発頭痛の治療は、主に発作を抑える薬物療法が中心です。
- 急性期治療(発作時の治療)
- トリプタン系薬剤: 片頭痛の発作治療にも使われるトリプタン系の薬が有効です。痛みが激しく内服が難しい場合は、皮下注射や点鼻によって投与されます。特に、スマトリプタンの皮下注射は日本で保険適用されており、夜間に頭痛が起こることが多いため、自己注射が一般的です。
- 酸素吸入: 発作時には酸素吸引も有効とされており、フェイスマスクを用いて100%酸素を7L/分で15分間吸引することが推奨されています。これは健康保険の適用も受けられます。診断が確定している場合は、ご自宅で酸素を吸入する在宅酸素療法を選択することも可能です。
- 予防療法(群発期の予防)
- 群発頭痛の発作が起こる時期が予測できる場合には、その時期に合わせてベラパミルなどの予防薬を服用することもあります。また、副腎皮質ステロイドや抗てんかん薬が使用されることもあります。
- 現時点では、「次の群発期が来ないように予防する」という治療法は存在しませんが、予防薬の適応外使用が行われることがあります。これらの予防薬については、医療従事者と相談し、適切な治療計画を立てることが重要です。
- 自宅でできる対処法・セルフケア
- 飲酒・喫煙を控える: アルコールの過剰摂取や喫煙は頭痛を誘発する要因となるため、普段から飲酒や喫煙は控えましょう。特に群発期には断酒することが非常に重要です。脳の血管が拡張することを避けるため、熱いお風呂やサウナ、辛い食事、激しい運動なども群発期には避けるべきです。
- 規則正しい生活: 不規則な睡眠は頭痛を誘発すると考えられています。毎日できるだけ決まった時間に起床し、就寝するなど、規則正しい生活を送りましょう。十分な睡眠時間を確保することも大切です。
- 気圧の変化を避ける: 急激な気圧の変化は群発頭痛を誘発すると考えられています。群発期には飛行機への搭乗や高い山への登山、スキューバダイビングなど、気圧の影響を受けやすい行動やスポーツは控えることをおすすめします。もしこれらを行う必要がある場合は、事前に医師に相談しましょう。
- 頭痛の記録: 頭痛がいつ頃から始まったか、他にどのような症状があったかなど、頭痛の記録をつけるようにしましょう。頭痛記録をつけることで、次回の頭痛が起こる時期の予測や、頭痛の前兆を自身で把握できるようになります。
よくある質問
Q1: 群発頭痛はなぜ男性に多いのですか?
A1: 群発頭痛が男性に多い理由はまだ完全に解明されていませんが、ホルモンの影響や生活習慣(飲酒・喫煙など)が関与している可能性が指摘されています。
Q2: 市販の鎮痛薬は群発頭痛に効きますか?
A2: 市販の鎮痛薬では群発頭痛の痛みが改善することはほとんど期待できません。痛みが激しいため、医療機関での専門的な治療が必要です。
Q3: 群発頭痛は完治しますか?
A3: 群発頭痛は、適切な治療と生活習慣の管理により、症状をコントロールし、発作の頻度や重症度を軽減することができます。しかし、完全に症状が出なくなる「完治」というよりは、発作の期間(群発期)が終わり、次の群発期まで症状が出ない「寛解」を繰り返すことが多い疾患です。
Q4: 群発頭痛と片頭痛の違いは何ですか?
A4. 群発頭痛と片頭痛はどちらも激しい頭痛ですが、いくつかの点で異なります。群発頭痛は片側の目の奥の激痛で、涙や鼻水などの自律神経症状を伴い、夜間や決まった時間帯に起こりやすいのが特徴です。また、痛みでじっとしていられないことが多いです。一方、片頭痛はズキズキとした拍動性の痛みが特徴で、吐き気や光・音過敏を伴い、暗く静かな場所で横になりたいと感じることが多いです。罹患する性別や年齢層も異なります。
Q5: 群発頭痛の予防のために、日常生活で特に気をつけるべきことはありますか?
A5: 最も重要なのは、群発期中の飲酒と喫煙を避けることです。これらは発作を誘発する強力な要因となります。また、規則正しい生活習慣を維持し、十分な睡眠を確保することも大切です。急激な気圧の変化(飛行機搭乗や高地登山など)も避けるようにしましょう。