溶連菌感染症
溶連菌感染症について
溶連菌感染症は、主に「A群溶血性連鎖球菌」という細菌によって引き起こされる感染症です。かつては恐れられた伝染病でしたが、現在では治療法が確立されています。
感染経路
溶連菌の感染経路は主に以下の2つです。
- 飛沫感染(ひまつかんせん): 感染者の咳やくしゃみ、つばなどのしぶきに含まれる菌を吸い込むことで感染します。
- 接触感染(せっしょくかんせん): 菌が付着したタオルや食器などを介して感染します。
潜伏期間
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、およそ2〜5日とされています。
流行時期
溶連菌は一年中感染する可能性がありますが、特に11月から4月にかけて活発に活動することが知られています。お子さんでは6歳から15歳の学童期に多く見られますが、近年では成人の方の感染も増えています。ご家族間での感染率も高い(20〜60%)とされているため、お子さんが診断された場合は、マスクの着用や手洗い・うがいの徹底が重要です。
溶連菌感染症の症状について
溶連菌感染症の主な症状は、喉の痛みと発熱です。風邪の症状と似ていますが、いくつかの特徴的な症状があります。
主な症状
- 発熱: 38℃〜39℃程度の発熱が見られます。
- 喉の痛み: 唾を飲み込むと喉が痛むことが多く、喉や扁桃腺が腫れ、白い膿が付着することもあります。
- 全身倦怠感: だるさや体の疲れを感じます。
- 頭痛: 頭が痛くなることがあります。
- 消化器症状: 腹痛、吐き気、嘔吐などを伴うことがあります。
特徴的な症状(特に小児に見られやすい)
- 発疹: 手足や胸から全身にかけて小さな赤い発疹が出ることがあります。紙やすりのようなザラザラとした感触で、「猩紅熱(しょうこうねつ)」と呼ばれる状態です。
- いちご舌: 舌の表面に赤いブツブツができ、まるで苺のようになることがあります。
- 咳や鼻水が少ない: 風邪と異なり、咳や鼻水、鼻づまりといった症状がほとんど出ないのが溶連菌感染症の特徴です。
受診を強く推奨する症状や状況
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 高熱が続いている場合
- 喉の痛みが非常に強く、飲食が困難な場合
- 手足の腫れや激しい喉の痛みが出た後、急激に手足が壊死するような症状が見られる場合(劇症型A群レンサ球菌感染症の可能性があり、非常に危険です)
- 発疹やいちご舌など、溶連菌に特徴的な症状が見られる場合
- 症状が重い風邪やインフルエンザと似ているが、咳や鼻水がほとんどない場合
- 抗生物質を飲み始めても症状が改善しない、または悪化する場合
- 解熱後、手足の皮膚がむけてくる、尿の色が紅茶やコーラのような色になる(血尿)など、合併症が疑われる場合
- 小児の場合、不機嫌、食欲不振、微熱、水溶性の鼻汁など、典型的な症状が見られない場合でも、感染が疑われる場合はご相談ください
- ご家族に溶連菌感染症と診断された方がいる場合
溶連菌感染症の診断と検査について
溶連菌感染症の診断は、主に「A群溶血性連鎖球菌迅速検査キット」を用いて行います。
検査方法
- 迅速検査: 喉の奥を綿棒でこすり、菌がいるかどうかを調べます。インフルエンザの簡易検査のようなもので、約15分程度で結果が判明します。
- 咽頭培養検査: 迅速検査で陰性でも症状が強い場合や、より確実に診断するために、喉の菌を培養する検査を行うこともあります。
- 血液検査: 必要に応じて、炎症反応の有無や程度を調べるために血液検査を行うことがあります。
これらの検査は、患者様の症状や年齢などを総合的に判断して行われます。メカマクリニックでは、患者様の負担を軽減し、迅速な診断に努めております。
溶連菌感染症の治療法について
溶連菌感染症の治療には、主に抗生物質が使用されます。
薬物療法
- 抗生物質の内服: ペニシリン系の抗生物質(サワシリン、ワイドシリン、パセトシンなど)が一般的に使用されます。ペニシリン系にアレルギーがある場合には、エリスロマイシン(エリスロシンなど)やクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッドなど)などが処方されることもあります。
- 服用期間の厳守: 症状が改善しても、処方された抗生物質は必ず全て飲み切ることが非常に重要です。自己判断で服用を中止すると、菌が再び増殖し、再発のリスクが高まるだけでなく、「リウマチ熱」や「急性糸球体腎炎」といった重篤な合併症を引き起こす可能性があります。一般的に、ペニシリン系であれば10日間、セフェム系であれば7日間の服用が推奨されています。
予防・自宅でのケア
- 安静と水分補給: 熱がある間は無理せず安静にし、脱水症状を防ぐために十分な水分補給を心がけましょう。
- 食事: 喉の痛みがある場合は、刺激の少ない、消化の良いものを摂取しましょう。辛いもの、酸っぱいもの、炭酸水などは喉への刺激となるため控えてください。
- 感染対策: 飛沫感染や接触感染を防ぐため、手洗い・うがいを徹底し、マスクを着用することが大切です。特に、ご家族に感染者がいる場合は、感染拡大を防ぐために注意が必要です。
- 学校・会社への登校・出社: 抗生物質を飲み始めてから24時間以上経過し、熱が下がり他の症状もなくなっていれば、感染力はほとんどなくなると言われています。ただし、学校や職場の規定がある場合は、それに従ってください。
よくある質問
Q1: 溶連菌感染症は大人もかかりますか?
A1: はい、溶連菌感染症は大人も感染します。特にお子さんから感染するケースが見られます。大人の場合、症状が風邪やインフルエンザと似ているため、診断が遅れることもありますので注意が必要です。
Q2: 症状が良くなったら薬を飲まなくても大丈夫ですか?
A2: いいえ、症状が治まっても、処方された抗生物質は必ず全て飲み切ってください。途中で薬をやめてしまうと、菌が再び増殖して再発したり、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。
Q3: 溶連菌感染症は、何回もかかる病気ですか?
A3: はい、溶連菌には多くの種類(血清型)があるため、一度感染しても別の種類の溶連菌に感染することで、繰り返し発症する可能性があります。
Q4: 溶連菌感染症にかかると、どのような合併症が起こる可能性がありますか?
A4: 適切な治療が行われないと、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん): 尿の異常(血尿など)やむくみ、頭痛などが見られることがあります。
- リウマチ熱: 関節の痛みや腫れ、心臓の炎症などが起こることがあります。
- 扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)・咽後膿瘍(いんごのうよう)
- 中耳炎、副鼻腔炎
- 伝染性膿痂疹(とびひ)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、丹毒(たんどく)などの皮膚症状
- ごく稀に、劇症型A群レンサ球菌感染症といった重篤な状態に至ることもあります。
Q5: 予防のためにできることはありますか?
A5: 手洗い・うがいの徹底、咳エチケット(マスク着用など)が基本的な予防策です。特に流行期や、周囲に感染者がいる場合は、より一層の注意を払いましょう。