全身倦怠感
全身倦怠感について
全身倦怠感とは、身体全体のだるさや疲労感を指し、日常生活に支障をきたすことがある症状です。 適切な休息をとっても改善しない場合や、他の症状(発熱、体重減少、痛みなど)を伴う場合は、何らかの病気が原因となっている可能性があります。
だるさや倦怠感は、大きく分けて以下の3つのカテゴリーに分類されることがあります。
- エネルギー不足: 通常の活動を妨げる身体的・精神的エネルギーの主観的不足
- 眠気増加: 日中の覚醒を維持できない状態
- 筋力低下: 筋力の低下によって日常の身体活動に影響が出ている状態
全身倦怠感の症状について
「体が重い」「集中力がない」「何をするにもやる気が出ない」「熱はないのに体がだるい」といった症状が全身倦怠感として現れます。 過度な運動や仕事による一時的な肉体疲労が原因の場合もあれば、身体的な負荷が少ないにもかかわらず、精神的な疲労が原因となる場合もあります。
しかし、以下のような場合は、単なる疲れではない可能性があります。
- 発熱を伴う全身のだるさ
- 体重減少や痛みを伴う倦怠感
- 適切な休息をとっても改善しない、6ヶ月以上続く倦怠感
- 激しいだるさで、普段の生活が送れない
全身倦怠感(だるさ)の考えられる原因
全身倦怠感の原因は多岐にわたり、一時的なものから、治療が必要な病気が隠れているケースまで様々です。
急性疾患が原因の場合
- 感染症: 風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、細菌感染(肺炎、扁桃炎など)など、免疫反応による炎症や発熱を伴い、全身倦怠感を引き起こします。
- 急性肝炎: ウイルス感染などによる肝臓の炎症が倦怠感を引き起こし、黄疸や腹痛を伴うことがあります。
- 急性腎障害: 腎機能障害による老廃物の蓄積が倦怠感をもたらします。むくみや高血圧を伴う場合があります。
- 熱中症: 高温環境での脱水や電解質異常が原因で、重度の倦怠感や意識障害を引き起こします。
- 急性ストレス反応: 極度の心理的・身体的ストレスが急性の疲労感を生じさせることがあります。
慢性疾患が原因の場合
- 慢性疲労症候群(CFS): 6か月以上続く原因不明の倦怠感が特徴で、休息しても改善しないのが特徴です。
- 甲状腺機能低下症: 代謝の低下によりエネルギー不足を感じ、倦怠感や寒気、体重増加が見られます。
- 貧血: 鉄欠乏やビタミンB12不足などによる酸素運搬能力の低下が倦怠感を引き起こします。立ちくらみや顔色の青白さを伴うこともあります。
- 糖尿病: 血糖値の変動やインスリン抵抗性が全身疲労感を生じさせます。進行すると、多尿や頻尿、全身の倦怠感などの自覚症状が見られることもあります。
- 慢性腎臓病(CKD)/腎不全: 腎臓の長期的な機能低下が、毒素の蓄積や貧血による倦怠感をもたらします。末期になると、尿毒症症状の一つとして倦怠感が強く現れることがあります。
- がん: 悪性腫瘍の進行に伴う代謝異常や炎症が慢性的な疲労を引き起こします。
- 精神疾患: うつ病や不安障害では、心理的ストレスが身体的な倦怠感として現れることが一般的です。食欲不振、性欲減退、頭痛、肩こりなども伴うことがあります。
- 心不全: 心臓の機能低下により、全身への血液供給が滞り、倦怠感が生じることがあります。
- 呼吸器疾患: 喘息やCOPDなど、呼吸機能の低下が倦怠感につながることがあります。
- 自己免疫疾患: 関節リウマチや膠原病など、免疫システムの異常による炎症が全身の倦怠感を引き起こすことがあります。
全身倦怠感の診断と検査について
全身倦怠感の原因を正確に診断するためには、丁寧な問診と各種検査が不可欠です。当院では、患者様の症状や状態に合わせて、以下の検査を組み合わせて行い、的確な診断と治療方針の決定を目指します。
問診
倦怠感の発症時期、持続時間、悪化や緩和の要因、そして発熱、体重減少、睡眠の質など、関連する症状を詳しくお伺いします。 また、既往歴や服用中の薬なども確認します。
身体診察
血圧、脈拍、呼吸数、酸素飽和度、皮膚、リンパ節、心音、肺音、腹部の触診などを通じて、全身の状態を評価します。
血液検査・尿検査
貧血の評価、炎症の有無(白血球・CRP)、肝機能・腎機能、血糖、電解質、甲状腺ホルモン、ビタミンやミネラル(鉄、ビタミンB12、葉酸)の欠乏などを確認します。糖尿病や腎臓病の兆候を探るために尿検査も行います。
画像診断
- レントゲン検査(X線検査): 胸部X線で肺炎や心拡大、肺結核などの呼吸器系の異常を確認します。骨の異常や関節の状態も確認できます。
- 超音波(エコー)検査: 肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などの腹部臓器、甲状腺、心臓、頸動脈などの状態をリアルタイムで観察し、異常の有無を確認します。
- CT検査: 肺や腹部臓器の腫瘍、炎症、出血などを詳しく調べることができます。頭部の外傷や脳出血の疑いがある場合にも有用です。当院では院内ネットワーク(関連施設含む)でCT検査が可能です。
全身倦怠感の治療法について
全身倦怠感の治療は、その原因によって異なります。当院では、検査で特定された原因疾患に対する治療を第一に考え、患者様の状態に合わせた最適な治療計画をご提案します。
原因疾患に対する治療
- 感染症: 細菌感染の場合は抗生物質、ウイルス感染の場合は抗ウイルス薬などで治療します。
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモン補充療法を行います。
- 貧血: 鉄剤やビタミンB12、葉酸などの補充を行います。
- 糖尿病: 血糖コントロールのため、薬物療法や生活習慣の改善を指導します。
- 慢性腎臓病: 食事療法や薬物療法、必要に応じて透析治療などを行います。
- がん: 病期に応じた手術、放射線療法、化学療法などが行われます。
- 精神疾患: 抗うつ薬や認知行動療法(CBT)などの精神的サポートを導入します。
精神疾患の治療が必要と判断された場合、患者様の状態に応じて適切な専門の医療機関をご紹介いたします。
症状緩和のための治療
原因疾患の治療と並行して、倦怠感そのものの症状を和らげるための対症療法も行います。鎮痛薬や抗炎症薬の使用、エネルギー不足を補うための栄養補助療法などがあります。
生活習慣の改善とセルフケア
ご自宅でできる対処法やセルフケアも倦怠感の軽減に非常に重要です。
- バランスの取れた食事: 栄養バランスの偏りがないか見直し、必要な栄養素をしっかり摂りましょう。
- 十分な睡眠: 睡眠不足は倦怠感の大きな原因の一つです。質の良い睡眠を心がけましょう。
- 適度な運動: 軽い運動は血行促進やストレス解消に繋がり、倦怠感の改善に役立ちます。無理のない範囲で継続しましょう。
- ストレス管理: ストレスは身体的な倦怠感として現れることがあります。ヨガや瞑想など、ご自身に合ったリラクゼーション法を取り入れましょう。
- 市販薬の使用: 一時的な倦怠感であれば、市販の総合感冒薬や栄養ドリンクなども役立つことがありますが、症状が長引く場合は自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
受診を強く推奨する症状や状況
以下のような症状や状況が見られる場合は、重大な病気が隠れている可能性があるため、お早めに医療機関を受診してください。
- 高熱が数日以上続く場合
- 倦怠感がひどく、日常生活に大きな支障が出ている場合
- 胸の痛みや息苦しさを伴う場合
- 意識がもうろうとする、けいれんがある、手足のしびれが急に悪化するなどの神経症状を伴う場合
- 体重が意図せず急激に減少した場合
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)がある場合
- 慢性的なだるさが6ヶ月以上続いている場合
よくある質問
Q1. 「だるさ」と「倦怠感」に違いはありますか?
A1. 一般的には同じような意味合いで使われますが、医学的には「倦怠感」の方がより深刻な、病的な疲労感を指すことが多いです。 適切な休息をとっても回復しない、日常生活に支障が出るほどの疲労感が続く場合に「倦怠感」という言葉が用いられます。
Q2. 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザによる倦怠感は、どのくらい続きますか?
A2. 個人差がありますが、新型コロナウイルス感染症の場合、多くの方は発症から2週間程度で症状が改善し、1ヶ月以内には日常生活に戻れるようになります。しかし、一部の方では倦怠感が1ヶ月以上続く「コロナ後遺症」として現れることがあります。 インフルエンザの場合も、熱が下がった後1〜2週間ほど倦怠感が続くことがあります。 どちらの感染症でも、倦怠感が長引く場合はご相談ください。
Q3. 全身倦怠感で受診した場合、どんな検査をしますか?
A3. まず、医師が症状や既往歴について詳しくお伺いする問診と身体診察を行います。 その後、必要に応じて血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波(エコー)検査などを行います。 当院ではCTやMRIといった高度な検査も院内または連携施設で対応可能ですので、原因を特定するための精密な検査が可能です。
Q4. 子供や高齢者の倦怠感で注意すべき点はありますか?
A4. 小児の場合、倦怠感が遊びや活動の低下として現れることがあります。また、言葉でうまく症状を伝えられないこともあるため、保護者の方が注意深く様子を観察し、普段と違うと感じたら早めに受診を検討しましょう。高齢者の場合、倦怠感が食欲不振や活動量の低下、意欲の低下など、他の症状と混同されやすいことがあります。また、複数の持病がある場合も多く、薬の副作用が倦怠感として現れることもあるため、専門医による慎重な判断が必要です。
Q5. 持病があるのですが、倦怠感がある場合はどうすれば良いですか?
A5. 持病をお持ちの方は、倦怠感が持病の悪化のサインである可能性や、服用している薬の副作用である可能性も考えられます。自己判断せず、かかりつけの医師にご相談いただくか、当院の内科を受診してください。症状に応じて、適切な検査や治療の提案、あるいは専門の医療機関へのご紹介も可能です。