慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)について
慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の機能が長期間にわたって徐々に低下していく病気の総称です。具体的には、何らかの腎臓の障害が3ヶ月以上続く場合、あるいは腎臓の機能を示す「糸球体濾過量(GFR)」が60mL/分/1.73㎡未満に低下した状態が3ヶ月以上続く場合に診断されます。
腎臓は、腰のあたりに左右1個ずつある小さな臓器ですが、体にとって非常に重要な働きをしています。
- 血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として体の外へ出す働き
- 血圧や体液の量、電解質のバランスを調整する働き
- 血液を作るホルモンの分泌
- 骨を作るのに必要なビタミンDを活性化する働き
CKDは初期にはほとんど自覚症状がないため、「新しい国民病」とも言われており、20歳以上の約7人に1人がCKDであると推計されています。自覚症状がないからといって放置すると、将来的に透析が必要になる場合や、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な病気を引き起こすリスクが高まるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
慢性腎臓病(CKD)が考えられる原因
CKDの原因は多岐にわたりますが、近年では糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が原因となるケースが最も増えています。特に糖尿病性腎症はCKDの最も多い原因疾患となっています。
その他、以下のような原因が挙げられます。
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 喫煙
- 運動不足
- 慢性糸球体腎炎
- 加齢
- メタボリックシンドローム
- 遺伝
- 薬剤
- 感染症
慢性腎臓病(CKD)の症状について
慢性腎臓病は、初期にはほとんど自覚症状がありません。腎臓自体に痛覚神経が乏しいため、痛みでCKDを自覚することはまれです。病気が進行すると、体の中に老廃物がたまり、様々な症状が現れるようになります。
進行に伴う主な症状は以下の通りです。
- むくみ(特に顔や脚全体)
- 息切れ
- 倦怠感、回復しにくい疲労感
- 貧血
- 夜間頻尿(就寝中に3回以上の排尿)
- 尿回数の増加あるいは減少
- 空腹感の減少を伴う食欲不振
- 慢性的な吐き気や味覚の悪化
- 短期間での体重増加
- 持続的あるいは断続的な血尿
- 頭痛
- 不眠
- めまい、ふらつき
- 手足のしびれ
これらの症状は個人差が大きいため、気になる症状がある場合は、腎臓内科での客観的な評価が重要です。
受診を強く推奨する症状や状況
上記のような症状が一つでも現れた場合は、腎臓病が進行している可能性があります。特に以下のような症状がある場合は、お早めに当院にご相談ください。
- 体のむくみが続く、悪化する
- 息切れや倦怠感が強くなり、日常生活に支障が出ている
- 夜間の頻尿がひどく、睡眠に影響が出ている
- 原因不明の吐き気や食欲不振が続く
- 健康診断で「蛋白尿」「血尿」「腎機能低下(eGFR低下や血清クレアチニン値の上昇)」を指摘された
慢性腎臓病(CKD)の診断と検査について
メカマクリニックでは、患者様の腎臓の状態を正確に把握し、適切な診断を行うために、以下のような検査を組み合わせて実施します。
血液・尿検査
少量の血液や尿を採取し、腎機能の状態(血清クレアチニン値、eGFRなど)、蛋白尿の有無や量、貧血の有無、電解質バランスなどを確認します。これらの検査結果は、その日のうちに診療方針に反映させることも可能です。特に、尿蛋白の増加とeGFRの低下は、CKDの重症度を判断する上で重要な指標となります。
レントゲン検査(X線検査)
胸部レントゲンで、心臓の大きさ(心拡大)や肺の状態を確認することがあります。CKDの進行によって、心臓に負担がかかることがあるためです。
超音波(エコー)検査
腎臓の形や大きさ、結石の有無、血流の状態などをリアルタイムで確認できます。体に負担がなく、放射線被ばくの心配もないため、安心して受けていただけます。
CT検査
X線を使って体の断面画像を撮影します。腎臓の形態異常や周囲の臓器との関係、血管の石灰化などを詳細に評価するのに有用です。当院では、短時間で高精細な画像を撮影できるヘリカルCT検査が可能です。
慢性腎臓病(CKD)の治療法について
慢性腎臓病の治療は、完治を目指すというよりも、病気の進行を遅らせ、合併症を防ぐことが主な目的となります。当院では、患者様お一人おひとりの病状や生活習慣に合わせた、最適な治療計画をご提案いたします。
食事療法
CKD治療の基本は食事療法です。特に以下の点に注意が必要です。
- 塩分制限: 高血圧の方やむくみがある方は、1日6g未満が目安となります。日本人の一般的な摂取量の約半分になるため、最初は薄味に感じるかもしれませんが、味覚の変化によって慣れてくる方が多いです。
- たんぱく質制限: 老廃物を少なくし、腎臓への負担を軽減するために、たんぱく質の摂取量を制限します。ただし、カロリー不足にならないよう、個々の状態に合わせた管理が重要です。ステージG3aでは0.8〜1.0g/kg標準体重/日、G3b以降は0.6〜0.8g/kg標準体重/日が目安となります。
- カロリー摂取: 過度の痩せを防ぐためにも、減塩・たんぱく質制限を行いつつも、25〜35kcal/kg標準体重/日を維持することを目指します。
- カリウム制限: 腎機能が低下するとカリウムの排泄が滞り、高カリウム血症となるリスクがあるため、ステージG3b以降では2,000mg/日以下、G4以降では1,500mg/日以下を目指します。生の野菜や果物について制限を伝えられるのはこのためです。
薬物療法
CKDが進行すると、残念ながら完治させる薬はありませんが、進行を遅らせるための薬物治療が行われます。
- 血圧やコレステロールを低下させる薬: 高血圧や脂質異常症が原因の場合や、CKDの進行を抑制するために使用されます。
- 貧血を改善する薬: 腎性貧血が進行すると、心不全の増悪因子にもなるため、エリスロポエチン製剤の投与が検討されます。
- 尿毒素を除去する薬: 体内にたまった老廃物の排泄を助ける薬です。
- 血糖をコントロールする薬: 糖尿病が原因の場合に使用されます。近年では、非糖尿病CKDに対しても腎保護効果が明らかとなっているSGLT-2阻害薬の一部も使用されることがあります。
予防・自宅でのケア
CKDの進行予防や悪化を防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが非常に重要です。
- 塩分の摂取量を制限する
- たんぱく質を摂りすぎない
- 適正体重を保つ(適切な範囲でのダイエット)
- 定期的な運動(ウォーキングなど)
- 適切に水分摂取する
- 排尿を我慢しない
- 飲酒量を減らす、禁煙する
- 必要最低限の薬しか飲まない
- ストレス管理をする
- 1日7~8時間、きちんと寝る
これらの生活習慣の改善は、CKDだけでなく、心臓病や脳卒中といった合併症のリスク低減にも繋がります。
よくある質問
Q1. 慢性腎臓病はどのような人がなりやすいですか?
A1. 高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病をお持ちの方、喫煙習慣のある方、加齢などがリスクを高めます。健康診断で蛋白尿や腎機能の異常を指摘された方も注意が必要です。
Q2. 自覚症状がない場合でも、受診した方が良いですか?
A2. はい、CKDは初期にはほとんど自覚症状がないため、自覚症状がなくても健康診断で異常を指摘された場合は、必ず医療機関を受診してください。早期に発見し、治療を開始することが、病気の進行を遅らせるために非常に重要です。
Q3. 慢性腎臓病と診断された場合、食事で特に気を付けることはありますか?
A3. はい、塩分やたんぱく質の制限が基本となります。ただし、個々の病状によって制限の程度が異なるため、自己判断せずに医師や管理栄養士の指導に従ってください。当院では管理栄養士による栄養相談も実施しています。
Q4. 慢性腎臓病の治療は、透析を避けるためですか?
A4. CKDの治療目標の一つは、腎代替療法(透析や腎移植)が必要となる末期腎不全への進展を阻止することです。しかしそれだけでなく、CKDに合併する脳心血管疾患や総死亡、入院などを予防することも重要な目標です。当院では、透析専門医としての知見も活かし、将来的な透析予防に取り組んでいます。
Q5. 運動はしても良いですか?
A5. 適切な運動は腎機能の保護に重要とされています。ただし、病状によっては運動内容に制限がある場合もありますので、必ず医師に相談し、適切な運動量や種類についてアドバイスを受けてください。