禁煙外来
「タバコをやめたいけれど、一人ではなかなかうまくいかない」「禁煙中のイライラが心配」、そうお悩みの方へ。禁煙は、あなたの意思の弱さではなく、「ニコチン依存症」という治療が必要な病気です。当院では、お一人おひとりに寄り添い、禁煙成功へ向けて全力でサポートいたします。
ニコチン依存症とは
タバコに含まれるニコチンは、麻薬にも劣らない強い依存性を持っています。タバコを吸うと、ニコチンが数秒で脳に到達し、快感を生じさせる物質(ドパミン)を放出します。これにより喫煙者は快感を味わいますが、同時に「また吸いたい」という欲求が生じ、次の1本を求める悪循環に陥ります。これが「ニコチン依存症」と呼ばれる状態です。風邪を意思の力で治せないのと同じように、ニコチン依存症も意思の力だけで克服することは難しいとされています。
ニコチン依存症には、身体的依存と心理的依存があります。
- 身体的依存: タバコがないとイライラしたり、落ち着かなくなったり、集中力が低下したりするなどの「離脱症状(禁断症状)」が現れます。これらの症状から逃れるために、再びタバコに手を出してしまう状態です。
- 心理的依存: 食後や仕事の合間など、今まで喫煙していた状況になると、無意識にタバコを吸いたくなる気持ちが強くなる状態を指します。
タバコが身体に及ぼす影響と禁煙のメリット
タバコの煙には、ニコチンだけでなく4000種類もの化学物質が含まれ、そのうち200種類以上が有害物質とされています。喫煙は、以下のような様々な健康リスクを高めます。
- がん(肺がん、喉頭がん、膀胱がんなど全身のがん)
- 呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)など)
- 動脈硬化の促進、脳卒中、心筋梗塞
- 胃・十二指腸潰瘍
- 歯周病
- 妊娠中の喫煙による流産、早産、新生児死亡のリスク増加
- 肌荒れ、口臭
- 集中力・持久力の低下
また、喫煙はご自身の健康だけでなく、受動喫煙によって大切なご家族や周囲の方々にも健康被害を及ぼす可能性があります。
禁煙することで、以下のような多くのメリットが期待できます。
- 体調が良くなる、咳や痰が減る、息切れしにくくなる
- 心肺機能の改善、高血圧の改善
- 心疾患や脳卒中、がんのリスク低減
- 目覚めがさわやかになる、肩こりがなくなる
- 口臭や肌の調子が改善される
- 食べ物が美味しく感じるようになる
- タバコ代の節約
- 火事の心配が減る
禁煙治療について
当院の禁煙外来では、お一人での禁煙が難しい方も、医師のサポートと禁煙補助薬を併用することで、より無理なくスムーズに禁煙を成功できるようお手伝いします。
保険適用となる条件
以下の要件をすべて満たす場合、健康保険を適用して禁煙治療を受けることができます。
- ご自身が今すぐに禁煙を始めたいと思っていること
- ニコチン依存度スクリーニングテスト(TDS)が5点以上であること
- 35歳以上の方で、[1日の喫煙本数]×[喫煙年数]が200以上であること(※34歳以下の方はこの要件を満たさなくても保険適用となります)
- 禁煙治療について医師から説明を受け、文書で同意していること
- 過去1年以内に健康保険を用いた禁煙治療を受けていないこと
上記要件を満たさない場合でも、自由診療で禁煙治療を受けることが可能です。
禁煙治療のスケジュール
健康保険を適用した禁煙治療は、通常12週間にわたり計5回の外来受診が必要です。
- 初回診察
- 2週間後
- 4週間後
- 8週間後
- 12週間後
各診察時には、呼気中の一酸化炭素濃度を測定し、禁煙の効果を実感していただけます。
禁煙補助薬の種類
禁煙治療では、禁煙に伴うつらさ(離脱症状)を軽減するために、主に以下の禁煙補助薬を使用します。
- ニコチンパッチ(貼り薬): 皮膚からニコチンを体内に吸収させることで、禁煙開始時に生じるニコチン離脱症状を緩和します。ニコチンパッチは、今までの喫煙習慣に変わる生活習慣を身につけるための補助として使用します。通常、8週間かけて徐々にニコチンの量を減らしていきます。
- チャンピックス(飲み薬):ニコチンを含まない飲み薬です。脳内のニコチン受容体に作用し、少量のドパミンを放出させることでイライラなどのニコチン切れ症状を和らげます。また、タバコを吸ってしまった際の「おいしい」といった満足感を感じにくくすることで、禁煙を助けます。 ※現在、チャンピックスは出荷停止中であり、処方はニコチンパッチのみとなります。
禁煙中の離脱症状と対処法
禁煙を始めると、ニコチンが体内から抜けていくことで、様々な離脱症状(イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲または体重増加など)が現れることがあります。これらの症状は通常3日以内にピークを迎え、徐々に消失していきます。辛いと感じた時は、我慢せずに医師にご相談ください。
喫煙再開の予防
禁煙に慣れるまでは、お酒の席への参加を控えるなど、喫煙したくなる状況や、過去に禁煙失敗の原因となった状況に注意し、対策を考えることが重要です。また、ストレスの発散方法を見つけることも禁煙継続には役立ちます。もし、一時的にタバコを吸ってしまっても、悲観したり諦めたりする必要はありません。禁煙に成功した多くの方が、再チャレンジの経験を持っています。
禁煙治療にかかる費用
健康保険などを利用した場合、初診料、再診料、薬剤費を含め、5回の外来治療で約13,000円~20,000円程度のご負担となります(自己負担3割の方で、禁煙治療のみの場合)。これは、1日1箱タバコを吸う方が8~12週間で消費するタバコ代よりも安くなる場合が多く、健康面だけでなく金銭面でもメリットが大きいと言えます。
よくある質問
Q1: 禁煙外来を受診するにはどうすればいいですか?
A1: 当院の禁煙外来は、初回診察のみ予約制とさせていただいております。まずはお電話でご連絡ください。
Q2: 禁煙治療はどんな人が受けられますか?
A2: 「今すぐに禁煙を始めたい」という意思があり、ニコチン依存度スクリーニングテストで一定の点数以上の方などが対象となります。詳細は「保険適用となる条件」の項目をご確認ください。条件を満たさない場合でも、自由診療で受診が可能です。
Q3: 禁煙治療薬にはどのような種類がありますか?
A3: 現在、主にニコチンパッチ(貼り薬)が処方されます。過去には飲み薬のチャンピックスもありましたが、現在出荷停止中です。
Q4: 妊娠中でも禁煙外来を受診できますか?
A4: 妊娠中や授乳中の方は、必ず事前に医師にご相談ください。
Q5: 禁煙すると体重が増えるというのは本当ですか?
A5: 禁煙すると、体重が増加することがあります。バランスの良い食生活や運動を心がけ、過度の体重増加を予防しましょう。