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脳腫瘍

脳腫瘍について

脳腫瘍とは、頭蓋骨の中に発生する腫瘍の総称です。脳の組織自体から発生する「原発性脳腫瘍」と、他の臓器で発生したがんが脳に転移してくる「転移性脳腫瘍」に大きく分けられます。原発性脳腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、その種類は150以上に分類されます。

良性腫瘍は比較的ゆっくりと増殖し、周囲の組織との境界がはっきりしているのが特徴です。一方、悪性腫瘍は増殖が速く、周囲の正常な脳組織に染み込むように広がるため、境界が分かりにくいという特徴があります。

脳腫瘍が大きくなると、脳神経や血管を巻き込んだり、脳のむくみ(脳浮腫)を引き起こしたりして、脳の機能に影響を及ぼします。これにより、様々な症状が現れることがあります。

脳腫瘍の分類

  • 原発性脳腫瘍: 脳の細胞や脳を包む膜、脳神経などから発生する腫瘍です。
    • 神経膠腫(グリオーマ): 脳を構成する神経膠細胞が腫瘍化したもので、原発性脳腫瘍の中で二番目に多く見られます。悪性度の高いものもあります。
    • 中枢神経系原発悪性リンパ腫: 脳に発生した悪性リンパ腫で、脳以外の病変がない場合に診断されます。
    • 髄膜腫: 脳を包む髄膜から発生する腫瘍で、原発性脳腫瘍の中で最も多く、ほとんどが良性です。
    • 下垂体腺腫: ホルモン分泌に関わる下垂体の一部が腫瘍化したものです。ホルモンを過剰に分泌するものと、分泌しないものがあります。
    • 神経鞘腫: 神経を取り巻く神経鞘という組織に生じる腫瘍です。聴神経に生じる聴神経鞘腫が最も多く見られます。
    • 頭蓋咽頭腫: 下垂体と視神経の近くに発生する腫瘍で、小児に多く見られます。
  • 転移性脳腫瘍: 肺がん、乳がん、大腸がんなど、他の臓器で発生したがんが血液の流れに乗って脳に運ばれ、増殖することによって起こる腫瘍です。転移性脳腫瘍は、脳腫瘍全体の中で多くを占めています。

脳腫瘍の症状について

脳腫瘍の症状は、腫瘍のできた場所や大きさ、性質(良性か悪性か)によって様々です。大きく分けて、腫瘍の増大による「頭蓋内圧亢進症状」と、腫瘍が特定の脳の部位に影響を与えることによる「局所症状」があります。

頭蓋内圧亢進症状

腫瘍が大きくなることで頭蓋骨の内側の圧力が高まり、以下の症状が現れることがあります。

  • 頭痛: 特に朝起きた時に最も痛みが強く、毎日続き、徐々に悪化する傾向があります。
  • 吐き気・嘔吐: 食事とは関係なく、気分が悪いといった前兆なしに突然吐いてしまうことがあります。
  • 視力障害: 目のかすみや視力低下、視野が狭くなるなどの症状が見られます。

これらの症状は時間経過と共に悪化する傾向にあります。

局所症状

腫瘍が脳の特定の部位に影響を及ぼすことで、その部位が司る機能に障害が現れます。

  • けいれん発作: 腫瘍が周囲の神経を刺激することで生じることがあります。特に大人になってから初めてけいれん発作が起こった場合は、脳腫瘍が疑われることがあります。
  • 半身麻痺: 身体の左右どちらか一方に力が入らなくなったり、動きにくくなったりする麻痺が生じます。
  • 感覚異常: 手足のしびれや感覚が鈍くなることがあります。
  • 言語障害(失語症): 言葉がスムーズに出てこない、言葉を理解できない、文字が読めない・書けないといった症状が見られます。
  • 視野障害: 視野の一部が見えにくくなったり、欠けたりします。
  • 聴力障害: 耳が聞こえにくくなることがあります。
  • 平衡障害・めまい: ふらつきやすくなったり、めまいを感じたりします。
  • 性格の変化: 人格や行動に変化が見られることもあります。
  • 内分泌異常: 下垂体腺腫の場合、ホルモンが過剰に分泌されたり、逆に正常なホルモンの分泌が障害されたりして、月経不順、乳汁分泌、手足の肥大、尿量の異常などが見られることがあります。

受診を強く推奨する症状や状況

以下のような症状や状況が見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • 突然の激しい頭痛で、これまでに経験したことのないような痛みがある場合
  • 頭痛が毎日続き、徐々に悪化している場合
  • 原因不明の吐き気や嘔吐が続く場合
  • 大人になってから初めてけいれん発作が起きた場合
  • 手足の麻痺やしびれが急に出現し、悪化する場合
  • ろれつが回らない、言葉が出てこないなどの言語障害がある場合
  • 視力や視野に急な変化があった場合
  • 意識がもうろうとする、意識を失うことがある場合

脳腫瘍の診断と検査について

脳腫瘍の診断には、問診に加え、様々な検査が行われます。当院では、患者様の症状や状態に合わせて、適切な検査を行い、正確な診断を目指します。

  • 神経学的検査: 医師が患者様の視力、聴力、運動能力、感覚などを細かくチェックすることで、脳のどの部分に異常があるかを推測します。例えば、「両上肢挙上試験」「片足立ち試験」「指鼻試験」などを行い、麻痺やバランス感覚、協調運動の障害がないかを確認します。
  • CT検査: X線を使って脳の断面画像を撮影します。MRIでは判明しにくい小脳や脳幹の病変の評価にも役立ちます。
  • 術中迅速検査(病理組織検査): 脳腫瘍の確定診断のためには、手術中に摘出した組織を病理学的に調べることが必要です。これにより、腫瘍の種類や性質を特定し、その後の治療方針を決定します。
  • 脳波検査(EEG): 脳の電気的な活動を記録し、けいれん発作の原因などを調べます。

脳腫瘍の治療法について

手術治療(腫瘍摘出術)

  • 良性腫瘍の場合、手術で完全に摘出できれば根治の可能性があります。
  • 化学療法(薬物治療):
  • 抗がん剤を用いて腫瘍細胞の増殖を抑える治療です。主に悪性脳腫瘍に対して行われます。
  • 手術で腫瘍をすべて取り除くことが難しい場合や、手術後の再発予防のために行われることがあります。
  • 腫瘍の組織型や遺伝子型に応じた薬剤が選択されます。

放射線治療

  • 高エネルギーの放射線を腫瘍に照射し、腫瘍細胞を破壊する治療です。
  • 手術で取り除けない腫瘍や、悪性度の高い腫瘍に対して行われます。
  • 「定位放射線治療(サイバーナイフ、ガンマナイフ、ZapXなど)」と呼ばれる、腫瘍のみに集中して放射線を照射する治療法もあります。転移性脳腫瘍に適用されることが多い治療法です。

これらの治療法を単独で行うこともあれば、組み合わせて行うこともあります。

自宅でできる対処法やセルフケア

脳腫瘍の診断や治療には専門的な医療が必要ですが、症状による不快感を軽減し、日常生活を快適に送るためのセルフケアも大切です。

  • 頭痛: 痛みがひどい場合は、医師に相談して処方された鎮痛剤を服用したり、頭部を冷やしたりすることが有効な場合があります。
  • 体調管理: 十分な休息をとり、バランスの取れた食事を心がけましょう。ストレスを溜めないよう、適度な気分転換も重要です。
  • 生活習慣の改善: 喫煙や過度な飲酒は、病状に影響を与える可能性があるため控えましょう。

年齢層別の注意点

  • 小児: 小児に見られる脳腫瘍は成人とは種類が異なることがあり、特に頭蓋咽頭腫など特定の種類の腫瘍が多く見られます。早期発見が非常に重要です。
  • 高齢者: 高齢者の場合、他の持病との兼ね合いや、体力的な側面も考慮した治療選択が重要になります。

持病を持つ方の注意点

高血圧、糖尿病などの持病をお持ちの方は、脳腫瘍の治療に影響を与える可能性があるため、必ず医師に申告してください。治療計画を立てる際に、それらの持病を考慮した上で最適な方法が選択されます。

よくある質問

Q1: 脳腫瘍は遺伝しますか?

A1: 脳腫瘍の主な発生要因は遺伝子の変異とされていますが、異常遺伝子が遺伝することで生じる脳腫瘍は一部の稀な腫瘍に限られます。ほとんどの脳腫瘍は遺伝性ではありません。

Q2: 頭痛があれば脳腫瘍の可能性がありますか?

A2: 頭痛は非常に一般的な症状であり、そのほとんどは脳腫瘍とは関係ありません。しかし、脳腫瘍による頭痛には、朝起きた時に特に強い、毎日続く、徐々に悪化するといった特徴があります。また、吐き気を伴う嘔吐や、けいれん発作、手足の麻痺など、他の症状を伴う場合は注意が必要です。気になる症状があれば、一度医療機関を受診し、ご相談ください。

Q3: 脳腫瘍は早期発見できますか?

A3: 脳ドックは、自覚症状がない段階で脳卒中や脳腫瘍などの脳の病気を早期に発見することを目的とした検査です。特に40歳以上の方や、高血圧、糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方、ご家族に脳卒中の既往歴がある方におすすめしています。当院でも脳ドックを提供しており、MRI/MRA検査などを用いて脳の健康状態を詳しく調べることができます。

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