緊張型頭痛
緊張型頭痛について
「頭を締め付けられるような痛みがある」「肩や首がこり固まっている」といった症状でお悩みではありませんか? 日常で感じる頭痛の中で最も多いのが緊張型頭痛であり、頭痛全体の約6割を占めると言われています。 このページでは、緊張型頭痛の症状や原因、当院での検査・治療について詳しくご説明します。
緊張型頭痛は、頭蓋骨に接着している筋肉(側頭筋、項部筋群、眼球を動かす筋肉など)の圧迫感を伴う頭痛で、数十分から数時間、あるいは数日から数週間続くことがあります。 多くの方が経験する頭痛であり、生涯有病率は30~78%とされています。
緊張型頭痛の症状について
緊張型頭痛の主な症状には、以下のような特徴があります。
- 痛みの特徴: 軽度から中等度の鈍い痛みが頭の両側で起こり、頭をベルトで締め付けられるような圧迫感や、重たい感じがします。 後頭部や側頭部を中心に、人によっては前頭部や目の周囲に及ぶこともあります。
- 動いても悪化しない: 片頭痛とは異なり、体を動かしたり運動したりしても痛みが悪化しないのが特徴です。 筋肉の緊張がほぐれると、痛みが軽減することもあります。
- 吐き気・嘔吐: 頭痛がひどい場合に吐き気を催すこともありますが、実際に吐くことはほとんどないとされています。
- 随伴症状: 首や肩のこりを伴う場合が多く、光や音に過敏になることはあまりありません。
- 持続時間: 発作性の頭痛では30分から数日程度続くことがあります。
- 日内変動: 朝方に多い人、夕方にかけて仕事の終盤に多い人、平日に多い人など、日内変動があることもあります。 典型的には起床後数時間で始まり、時間とともに悪化する傾向が見られます。
緊張型頭痛の種類
緊張型頭痛は、頭痛の頻度によって以下の3つに分類されます。
- 稀発反復性緊張型頭痛: 頭痛が発生する日が年に12日未満の場合です。 頻度が少ないため、頭痛が発生した都度対処を行います。
- 頻発反復性緊張型頭痛: 頭痛が発生する日が年に180日未満の場合です。 比較的頻繁に痛みが起こるため、非薬物療法に加えて一時的な鎮痛剤の服用も行います。 適切な対応をせずに長期間経過すると、慢性緊張型頭痛に移行する危険性があります。
- 慢性緊張型頭痛: 頭痛が発生する日が年に180日以上の場合です。 軽い動作でも頭痛が起こりやすくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。
緊張型頭痛の考えられる原因
緊張型頭痛の原因ははっきりとは分かっていませんが、以下のメカニズムや要因が考えられています。
- 身体的ストレス(末梢性疼痛メカニズム)
- 肩や首のこり: 肩から首にかけての筋肉(前頭筋、側頭筋、僧帽筋など)に炎症が起こったり、こり固まったりすることで頭痛が生じるメカニズムです。
- 姿勢の影響: デスクワークやスマートフォンの長時間使用(いわゆる「スマホ首」)、長時間運転など、同じ姿勢を続けることで首や肩の筋肉に負担がかかり、疲労しやすくなります。 これにより筋肉が慢性的にこり固まり、痛みを感じやすくなります。
- 寝具や寝相: 朝方に頭痛が強い場合は、寝ている間の姿勢や枕などの寝具に原因がある可能性もあります。
- 精神的ストレス(中枢性疼痛メカニズム)
- 筋肉の緊張: ストレスを感じると交感神経が働き、身を守る反応として体の筋肉に力が入りやすくなります。 特に首周りの筋肉に力が入り続けると、慢性緊張型頭痛の原因となることがあります。
- 脳の感作: 首や肩の筋肉の痛みが長時間広範囲に発生すると、脳が少しの刺激にも反応しやすくなり(中枢性感作)、痛みを感じやすくなります。 この状態が繰り返されると、頭痛の頻度や継続時間が増大し、薬も効きづらくなることがあります。
- その他
- 睡眠不足: 睡眠不足も中枢性感作の原因となるため、睡眠を整えることで症状が緩和されることがあります。
- 顎関節機能障害、眼精疲労: これらの問題も緊張型頭痛の原因となることがあります。
- うつ病や片頭痛の併発: 慢性的な頭痛の患者様は、精神的に不安定になっていることが多く、うつ病や片頭痛を併発している場合があります。
緊張型頭痛の診断と検査について
緊張型頭痛の診断は、問診と身体診察、そして必要に応じて画像検査や血液検査などを行い、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に基づいて行われます。
当院では、患者様の症状の原因を正確に把握し、迅速かつ適切な治療方針を決定するために、以下の検査体制を整えています。
- 問診: 症状の具体的な状況(いつから、どんな痛みか、どのくらいの頻度か、など)や既往歴、生活習慣について詳しくお伺いします。
- CT検査: 頭部の外傷や脳出血の確認に特に有効です。
- レントゲン検査: 主に骨の状態を見る検査で、しびれの原因となる首の骨などを確認します。
- 血液検査: 頭痛の原因が全身性の疾患でないことを調べます。
これらの検査を組み合わせることで診断精度を高め、早期の治療開始を目指します。
緊張型頭痛の治療法について
緊張型頭痛の治療は、症状の程度や頻度に応じて、急性期治療、予防療法、非薬物療法を組み合わせて行われます。
急性期治療
痛みが強く出ている時期には、痛みを抑えるための薬物療法が中心となります。
- 鎮痛剤: アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)などが用いられます。 NSAIDsは種類が多いため、患者様に合うものを見つけるために数種類試すことがあります。
- 筋弛緩薬: 首や肩の周りの筋肉の緊張をほぐすために、チザニジンなどの筋弛緩薬を併用することもあります。
- 安定剤: エチゾラムやアルプラゾラムなどの安定剤が有効な場合もありますが、眠気を催すことがあるため注意が必要です。
予防療法
頭痛が頻繁に起こる場合や慢性化している場合には、予防療法も検討します。
- 三環系抗うつ薬: 脳が痛みを感じやすくなる現象(中枢性感作)を抑えるために、アミトリプチリンの少量投与が行われることがあります。 効果が出るまである程度の期間服用を続ける必要があり、副作用に注意しながら治療を行います。 6~12ヶ月ごとに効果を見直しながら、長期的に中枢性感作の改善を目指します。
非薬物療法(生活習慣の改善・セルフケア)
薬物療法と併用することで、より効果的な改善が期待できます。
- 運動療法・ストレッチ: 頭部体操、マッサージ、ストレッチ、ヨガなど、体を動かし筋肉の緊張をほぐすことで痛みが低減することがあります。 首の筋肉を意識してゆっくり回したり伸ばしたりすることが重要です。 水泳や球技など、首の自然な動きを取り入れたスポーツもおすすめです。
- 姿勢の改善: 長時間同じ姿勢を避け、定期的にストレッチや軽い運動を取り入れましょう。特に首や肩の筋肉をほぐすことが大切です。
- ストレス管理: ストレスをためないよう、リラックスできる時間を作ることも重要です。また、十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけることも症状の緩和に繋がります。 枕などの寝具が合っているか見直すことも有効です。
- 入浴: 体を温めて筋肉の血行を促進することも効果的です。
受診を強く推奨する症状や状況
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
- 頭痛の頻度が増えてきた、痛みが強くなってきた
- 日常生活に支障をきたすほどの頭痛
- 市販薬を飲んでも効果がない、または服用回数が増えてきた
- 今まで経験したことのないような激しい頭痛
- 発熱を伴う頭痛、意識障害がある、けいれんがある
- 手足のしびれや麻痺がある
- 頭痛とともに吐き気や嘔吐を繰り返す場合
- 光や音、臭いに敏感になるなど、片頭痛のような症状も伴う場合
よくある質問
Q1: 緊張型頭痛と片頭痛はどのように違いますか?
A1: 緊張型頭痛は頭全体や後頭部を中心に締め付けられるような痛みが特徴で、体を動かしても痛みは悪化しません。肩や首のこりを伴うことが多いです。一方、片頭痛は頭の片側または両側がズキズキと脈打つように痛み、動くと痛みが強まる傾向があります。吐き気や嘔吐、光や音に敏感になるなどの症状を伴うことがあります。
Q2: 市販薬は使っても良いですか?
A2: 稀に起こる頭痛であれば、市販の鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン配合の薬など)が有効な場合があります。 しかし、痛みが頻繁に起こる場合や、市販薬を常用している場合は、薬物乱用頭痛のリスクがあるため注意が必要です。 長く続く頭痛の場合は、一度医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
Q3: どのような場合に病院を受診すべきですか?
A3: 頭痛の頻度が増加したり、痛みが強くなったりして日常生活に支障が出ている場合、市販薬の効果が感じられなくなってきた場合は受診を検討してください。また、今まで経験したことのない激しい頭痛、意識がもうろうとする、手足のしびれ、発熱を伴うなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
Q4: 日常生活で気をつけることはありますか?
A4: 長時間同じ姿勢を避け、定期的にストレッチや軽い運動を取り入れましょう。特に首や肩の筋肉をほぐすことが大切です。 ストレスをためないよう、リラックスできる時間を作ることも重要です。また、十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけることも症状の緩和に繋がります。 枕などの寝具が合っているか見直すことも有効です。
Q5: 小児や高齢者の緊張型頭痛で注意すべき点はありますか?
A5: 小児の場合も大人と同様に緊張型頭痛は起こり得ますが、訴えが曖昧なこともあります。特に、学業や遊びに支障が出ている場合は受診を検討しましょう。高齢者の場合は、他の病気が隠れている可能性も考慮し、より慎重な診断が必要です。気になる症状があれば、年齢に関わらずご相談ください。