disease

骨粗鬆症

骨粗鬆症について

骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、骨がもろくなることで骨折しやすくなる病気です。年齢とともに誰にでも起こりうる疾患ですが、特に閉経後の女性は、女性ホルモンの減少により急激に進行しやすいため注意が必要です。骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行することが多く、気づかないうちに骨折しているケース(いつのまにか骨折)も少なくありません。背中が曲がる、身長が縮む、腰が痛いといった異変は、骨粗鬆症のサインかもしれません。

骨密度の低下とそのメカニズム

骨は、日々「破壊」と「再生」を繰り返して新しく作り替えられています。この骨の新陳代謝には、「破骨細胞」と「骨芽細胞」という2種類の細胞が関わっています。破骨細胞が古くなった骨を壊し(骨吸収)、骨芽細胞が新しい骨を作る(骨形成)という一連のサイクルが、バランス良く行われることで健康な骨が維持されます。しかし、加齢や閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の減少などにより、このバランスが崩れると、骨吸収が骨形成を上回り、骨がスカスカになって骨粗鬆症が進行します。

その他の危険因子

  • 既存骨折があること
  • 喫煙
  • 過度な飲酒
  • 運動不足
  • ステロイド薬の服用(喘息やリウマチなどによる)
  • 低体重(BMI22以下)
  • 家族に骨粗鬆症の患者さんがいる
  • 若年期の過度なダイエット

骨折リスクの上昇と主な症状

骨粗鬆症自体には痛みがなく、自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかないうちに病気が進行していることが少なくありません。しかし、骨粗鬆症が進行し、骨折を起こすと様々な症状が現れます。

骨粗鬆症で起こりやすい骨折の部位と症状

  • 背骨(脊椎圧迫骨折)
    • 前かがみの姿勢で重いものを持つなど、ささいな衝撃で起こることがあります。
    • 腰や背中の痛み、背中が曲がる(円背)、身長が縮むといった症状が現れることがあります。
    • 進行すると、内臓が圧迫され、逆流性食道炎や便秘などを引き起こす可能性もあります。
  • 股関節(大腿骨頚部骨折)
    • 尻もちをつくような転倒や、脚をひねった際に起こりやすい骨折です。
    • 歩行困難や寝たきりの原因となることがあり、生活の質に大きく影響します。
  • 手首(橈骨遠位端骨折)
    • 転倒した際に手をついて起こりやすい骨折です。

症状が出にくい骨粗鬆症の診断

自覚症状がほとんどない骨粗鬆症では、早期発見のために検査が重要です。当院では、患者様の骨の状態を正確に把握するために、問診、診察に加えて様々な検査を組み合わせて総合的に診断いたします。

  • レントゲン検査(X線検査)
    • 背骨の性状や形態を確認し、「いつのまにか骨折」を含む骨折の既往の有無を調べます。骨折の有無だけでなく、骨粗鬆症の診断やリスク評価に重要な情報となります。
    • 当院ではデジタル撮影により、画像を即時に確認しご説明できます。
  • 骨密度検査(DXA法)
    • X線を用いて骨内部の状態を明らかにします。当院では、骨粗鬆症治療ガイドラインで推奨されている腰椎・大腿骨を用いたDXA(デキサ)法で測定しています。
    • 被ばく線量が極めて少ない安心安全な検査機器で、痛みもなく短時間で終了します。
    • YAM値(Young Adult Mean): 若い人の骨密度を100%としたとき、骨密度がどのくらい低下しているかを示す重要な値です。YAM値が70%以下の場合、骨粗鬆症が強く疑われます。
  • 血液検査、尿検査
    • 骨を破壊するスピードが速まっているのか、骨を作る能力に問題があるのかなど、骨代謝の状態を詳しく調べます。
    • 骨粗鬆症以外の病気が隠れている可能性も考慮し、採血や尿による分析を行います。
    • 骨代謝マーカーを調べることで、骨の新陳代謝の異常が分かり、骨折の危険度の予測や治療効果の判定に役立ちます。

受診を強く推奨する症状や状況

  • 2cm以上の身長の低下や円背: 過去の身長と比べて明らかに縮んでいる場合や、背中が丸くなってきたと感じる場合。
  • 軽微な外力での骨折歴: 転んだり、ぶつかったりといった些細なことで骨折した経験がある場合。
  • 腰や背中の痛みが続く: 特に、原因がはっきりしない腰や背中の痛みが続く場合。
  • 健康診断で骨密度の低下を指摘された: 検査結果で骨密度が低いと判定された場合。
  • 家族に骨粗鬆症による骨折の既往がある: 特に、両親が大腿骨近位部骨折を起こしている場合。
  • 閉経後の女性で、上記症状に心当たりのある方: 閉経を境に骨密度が急激に低下しやすいため、注意が必要です。

骨粗鬆症の予防・治療

骨粗鬆症の治療は、「運動」「食事」「薬物療法」の3つが基本軸となります。これらを組み合わせることで、骨折のリスクを減らし、生活の質(QOL)を維持・改善することを目指します。

運動療法

  • 骨は適度な負担をかけることで強くなる性質があります。無理のない範囲でウォーキングなどの適度な運動を取り入れることで、骨に良い刺激が伝わり、骨代謝が活性化されます。
  • 同時に、骨を支えるための筋肉量を維持・増強することも重要です。
  • 当院では、効果的に鍛えるためのリハビリテーションなど、理学療法士による専門的知識に基づいた個別性の高い運動指導を行っております。
  • また、脊椎の骨折を防ぐために、背筋を鍛える運動も効果的です。

食事療法

  • 骨を作るために主に必要とされる栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質などです。毎日の食事にバランス良く取り入れ、過不足なく摂取することが大切です。
  • カルシウムを多く含む食品(牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜、魚介・海藻類など)を積極的に摂りましょう。
  • カルシウムの吸収を助けるビタミンD(きくらげ、サケ、干ししいたけなど)や、骨の形成を助けるビタミンK(納豆、ブロッコリーなど)も意識して摂取してください。
  • 過度なアルコールやカフェインの摂取は、カルシウムの吸収を妨げたり、排泄を促したりするため控えめにしましょう。

薬物療法

  • 食事からの栄養摂取と運動による適度な負荷に加え、骨を作るサイクルを整えるために、必要に応じて飲み薬や注射剤を組み合わせます。
  • 「骨吸収(骨を壊す)」を抑制する薬:
    • ビスホスホネート製剤(錠剤・ゼリー剤・注射剤など)
    • 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
    • 抗RANKL抗体薬
  • 「骨形成(骨を作る)」を促進する薬:
    • 副甲状腺ホルモン製剤テリパラチド
  • 「骨吸収」と「骨形成」両方に作用する薬:
    • ヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤
  • 骨の代謝に必要な栄養素を補う薬:
    • 活性型ビタミンD製剤
    • ビタミンK製剤

ご自宅でできる対処法・セルフケア

骨粗鬆症の予防と進行抑制には、日々の生活習慣が大きく影響します。

  • バランスの取れた食事: カルシウムやビタミンD、Kを意識した食事を心がけましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で毎日体を動かす習慣をつけましょう。骨に適度な負荷をかけることで、骨密度維持に繋がります。
  • 日光浴: ビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されます。適度な日光浴も効果的です。
  • 禁煙・節酒: 喫煙や過度な飲酒は骨密度を低下させる原因となります。
  • 転倒予防: 特に高齢の方は、転倒が骨折に直結するため、室内環境を整える、足元に注意するなど、転倒しないための工夫が重要です。
  • 定期的な健康チェック: 自覚症状がなくても、定期的に骨密度検査などを受けることで、早期発見・早期治療に繋がります。

よくある質問

Q1. 骨粗鬆症は何歳くらいから気を付けたほうがいいですか?

A1. 女性の場合、閉経を機に女性ホルモンが急激に減少し骨密度が低下しますので、50歳を過ぎたら一度は骨密度検査を受けることをお勧めします。男性も加齢とともにリスクが高まりますので、気になる方はご相談ください。

Q2. 痛みがなくても治療は続けるべきですか?

A2. はい、続けるべきです。そもそも骨粗鬆症だけではほとんど痛みはありません。骨粗鬆症が原因で骨折することで痛みが生じます。骨折の治療で痛みが改善しても、骨粗鬆症自体が治ったわけではないため、次に骨折を起こす可能性は高くなります。一度骨折をされた方は特に、骨粗鬆症の治療を継続することが重要です。

Q3. 骨粗鬆症になりやすい体質はありますか?

A3. 家族に骨粗鬆症の患者さんがいる場合は、遺伝的な要素も考えられます。また、痩せ型の人や、女性で閉経の時期が早かった人、若い頃に過度なダイエットをした人も骨粗鬆症のリスクが高まることが分かっています。生活習慣も大きく関わっていますので、ご心配な方は一度ご相談ください。

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