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痛風(高尿酸血症)

痛風について

痛風の背景には、血液中の尿酸値が高い状態である「高尿酸血症」があります。高尿酸血症自体には自覚症状がほとんどないため、健康診断や人間ドックの血液検査で初めて指摘される方がほとんどです。

尿酸値が高くなる要因としては、生活習慣の乱れや肥満(メタボリックシンドロームの影響)が挙げられます。痛風患者さんの約95%は30代以降の中高年男性で、特に30代・40代の男性の約3割が高尿酸血症であるという調査結果もあります。

痛風発作の痛みは、発作から半日〜1日程度でピークを迎え、1週間ほどで自然に治まることが多いです。しかし、関節に尿酸塩が残っている限り、痛風発作の再発や腎臓機能の低下、動脈硬化による脳血管障害(脳出血、脳梗塞)、心筋梗塞などの虚血性心疾患、尿路結石といった合併症を引き起こしやすくなるため、尿酸値を適切にコントロールすることが非常に重要です。

痛風の症状について

痛風の主な症状は、関節炎による「強い痛み」「赤み・腫れ」です。多くの場合、足の親指の付け根に発症しますが、足首、足の甲、かかと、まれに手や耳(上半分)に起こることもあります。

痛風による関節炎は、以下のように分類されます。

  • 急性関節炎(痛風発作): 突然、強い痛みや関節の腫れが現れるものです。痛みを感じてから半日〜1日程度で痛みのピークが来ます。痛みが生じる前に、関節の違和感やムズムズする感じといった予兆を覚える場合があります。発作中は歩行が困難になるほどの激痛を伴うことが一般的です。
  • 慢性関節炎(痛風結節): 尿酸値のコントロールをせずに高い状態が続くと、痛風発作が頻繁に起こるようになり、次第に痛みが続くようになります。また、手足の指先、肘、膝、アキレス腱、耳などに尿酸塩の結晶が溜まって、コブのような「痛風結節」が現れることもあります。痛風結節自体は痛みを伴わないことが多いですが、進行すると関節が変形したり骨の破壊が起こったりして、日常生活に影響が出ることがあります。

痛風の考えられる原因

痛風発症の根本的な原因は、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことにあります。体内で「プリン体」という物質が常に産生されており、これは体を動かすためのエネルギー源となります。プリン体は肝臓で「尿酸」という老廃物に分解され、血中に一定量存在し、抗酸化物質としても働きます。不要な尿酸は尿や便として排泄されます。

高尿酸血症は、尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることで起こります。

  • 尿酸産生過剰型: 体内で尿酸が過剰に作られるタイプです。プリン体を多く含む食品の過剰摂取、血液疾患、がん治療の影響などが関与します。
  • 尿酸排泄低下型: 腎臓からの尿酸排泄が低下するタイプです。遺伝的な体質、腎機能の低下、特定の薬剤(利尿薬など)の影響が関与します。
  • 混合型: 尿酸の産生増加と排泄低下が同時に起こるタイプです。肥満、食生活の乱れ、運動不足、ストレスなどが関与します。

高尿酸血症があるからといって、必ずしも痛風を発症するとは限りません。しかし、高尿酸血症に加え、以下のような危険因子がある場合には発症しやすくなります。

  • 体質(遺伝素因)
  • 高血圧
  • 過剰なアルコール摂取習慣
  • 過食
  • 肥満・肥満気味
  • ストレス
  • 水分摂取不足
  • 時々激しい運動をする
  • 30代以降の男性(女性ホルモンに尿酸の排泄を促す働きがあるため、閉経前の女性は痛風になりにくい傾向があります。)

痛風が発症しやすいタイミングとしては、発汗などで体内の水分が失われやすい「夏」、アルコールを飲んだ後、就寝時に脱水症状が起こりやすい「夜中〜明け方」が挙げられます。

痛風の診断と検査について

痛風の診断には、問診、視診、触診に加え、血液検査や尿検査、必要に応じて関節液検査や画像検査などを行います。

  • 問診・視診・触診: 関節の痛みや腫れなどの自覚症状、これまでの病歴、飲酒や運動などの生活習慣、家族に痛風の方がいるかといった家族歴、服用中の薬などを詳しくお伺いします。
  • 血液検査: 採血で「尿酸値」を測定します。痛風発作中や直後は、血液検査をしても尿酸値が一時的に低下することがあるため、正確な尿酸値を測るためには、通常、症状が落ち着いた別日に改めて検査を行います。高尿酸血症や痛風の方は、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を合併しているケースが多いため、肝機能、コレステロール、血糖値なども一緒に調べます。
  • 尿検査: 尿のpH値を調べます。体内の尿酸が増えると、尿が酸性になる傾向があります。
  • 関節液検査: 関節内にある関節液を針で採取し、顕微鏡で尿酸塩の結晶の有無を調べます。尿酸塩の結晶は細長い針のような形をしています。これにより、痛風の診断を確定できます。
  • 画像検査:
    • 超音波検査(エコー検査): 関節の炎症や尿酸塩の沈着を確認するために行われます。
    • CT検査: 骨の状態や尿酸塩の沈着を立体的に把握するのに有用です。
    • レントゲン検査: 骨の状態を確認するために行われることがあります。
  • その他: 必要に応じて、病型分類のための尿酸クリアランス検査やクレアチニン測定などを行う場合があります。

当院では、問診や視診、画像検査、高尿酸血症の持続といった情報から総合的に診断を行います。

痛風の治療法について

痛風治療の目的は、生活習慣の見直しと薬物治療によって、尿酸値を適正にコントロールすることです。これにより、痛風発作の再発や、腎臓病、心血管疾患、尿路結石などの合併症の発症リスクを下げることが期待できます。

当院では、痛風・高尿酸血症の管理基準である「6-7-8ルール」を意識して尿酸値をコントロールしていきます。

  • 尿酸値が7mg/dl以上を「高尿酸血症」と診断
  • 尿酸値9mg/dlまたは8mg/dl以上で合併症がある場合には、薬物療法などの治療が望まれる
  • 治療中は尿酸値を6mg/dl以下にコントロールする

生活習慣の改善

痛風は生活習慣病であるため、治療の基本は食事療法や運動療法などによる「生活習慣の改善」です。高尿酸血症の方には肥満傾向のある方が多いため、特に「肥満解消」が効果的です。

  • 食事療法
    • プリン体の多い食品の摂取制限: 内臓類(レバーなど)、肉類、魚介類(白子、エビ、イワシ、カツオなど)、干物など、プリン体を多く含む食品や高カロリー食の摂取は控えましょう。プリン体の摂取目安は1日400mgとされています。清涼飲料水など甘い飲み物に含まれる果糖も尿酸値を上げる作用があります。
    • アルコールの摂取制限: ビールはプリン体を多く含むことで知られていますが、アルコール自体に尿酸値を増加させる作用があるため、ビール以外のアルコール飲料も飲み過ぎは禁物です。アルコール飲料の摂取目安として、ビール500mL、日本酒1合、ウイスキー60mL程度とされています。
  • 運動療法: 肥満は尿酸値を高めます。肥満を解消するため、食事・飲酒制限とともに、週3回程度の軽い有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど、人と会話できるくらいの運動強度)がおすすめです。急に激しい運動をすると逆に尿酸値を上げることに繋がるため、注意が必要です。運動の際には意識的に水分補給を行い、脱水症状には十分注意しましょう。

薬物治療

薬物治療には、「痛風発作の治療」と「尿酸値を下げる治療」の2種類があります。お薬の副作用や服用方法など、気になる点がある場合には、自己判断で中止せず、医師またはスタッフまでお気軽にご相談ください。

  • 痛風発作の治療: 痛風発作で痛みや腫れが現れているときは、主に消炎鎮痛剤(非ステロイド系痛み止め)を使って、優先して炎症の改善・痛みの緩和を行います。その際、できるだけ患部に負荷をかけず、安静にして冷やすと痛みが和らぎます。患部がムズムズするなど発作予兆期には、白血球の働きを抑えるお薬を服用することもあります。
    • 注意点: 痛風発作中に尿酸値を下げる薬を急に飲むと、かえって発作が悪化することがあります。発作が起きた際は、まず消炎鎮痛薬で痛みを抑え、炎症が落ち着いてから尿酸値を下げる治療を開始します。
  • 尿酸値を下げる治療: 痛風発作による痛みや腫れが治まってから、尿酸排泄促進剤や尿酸生成抑制剤といったお薬を使い、約3〜6か月かけて尿酸値をコントロールしていきます。治療開始から尿酸値が安定する頃(6か月程度)までは、急激な尿酸値低下により発作が起こりやすくなるので、注意が必要です。痛みが治まっても、継続的に尿酸値を下げ、尿酸塩の結晶を溶かしきらない限り、再発する可能性があります。

受診を強く推奨する症状や状況

以下のような症状や状況が見られる場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

  • 「風が吹いても痛い」ほどの激しい関節の痛みや腫れが突然現れた場合。
  • 足の親指の付け根だけでなく、足首、膝、手などの関節にも痛みや腫れがある場合。
  • 痛風発作が1週間以上続く場合や、痛みが悪化している場合。
  • 痛風発作を繰り返している場合(慢性化するリスクが高まります)。
  • 健康診断で高尿酸血症を指摘されたが、特に症状がないため放置している場合(痛風発作や合併症のリスクがあります)。
  • 関節にコブのような痛風結節ができている場合。
  • 激しい痛みに加えて、発熱や倦怠感などの全身症状を伴う場合。
  • 持病(高血圧、糖尿病、腎臓病など)があり、痛風の症状が出た場合。

ご自宅でできる対処法やセルフケア

痛風発作が起きた際の応急処置や、普段からできるセルフケアをご紹介します。

  • 痛風発作が起きたら:
    • 患部を冷やす: 痛みのある関節を氷や冷たいタオルで冷やすと、炎症が和らぎ、痛みが軽減されます。温めると炎症が悪化し、痛みが強くなることがあります。
    • 安静にする: 患部に負担をかけないように、できるだけ安静にしましょう。
    • 水分を多めに摂る: 水やお茶など、糖分の含まれていない飲み物を1日に2Lを目安に積極的に摂り、尿酸の排泄を促しましょう。
    • 市販薬の使用: 痛風発作には、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)が有効な場合があります。ただし、服用前に薬剤師に相談し、適切な量と期間を守って使用してください。
  • 普段の生活で気を付けること:
    • バランスの取れた食事: プリン体を多く含む食品(レバー、魚卵、干物、肉類など)の過剰摂取を避け、腹八分目を心がけましょう。甘い飲み物に含まれる果糖も尿酸値を上げるため注意が必要です。
    • アルコールは適量に: アルコール自体に尿酸値を上げる作用があるため、プリン体カットのビールであっても飲み過ぎは避けましょう。
    • 適度な運動: 肥満解消のために、週3回程度の軽い有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を取り入れましょう。短距離ダッシュや大きな負荷をかける無酸素運動は、逆に尿酸値を上げる原因となることがあります。
    • ストレス解消: ストレスも尿酸値を上昇させる危険因子とされています。自分に合った方法でストレスを発散しましょう。
    • 定期的な健康診断: 高尿酸血症は自覚症状がないため、定期的な健康診断で尿酸値をチェックし、早期発見・早期治療に繋げることが重要です。当院では各種健康診断、人間ドック、脳ドックを提供しており、高尿酸血症の発見にもつながります。

よくあるご質問

Q1. 痛風は再発しますか?

A1. 痛風発作後、半年〜2年程度で再発する方が多いです。痛みが治まっても、継続的に尿酸値を下げて尿酸塩の結晶を溶かしきらない限り、再発する可能性があります。痛みが治まったからと安心せず、その後も継続して内服を続けることが大切です。

Q2. 痛風は1日で治るのでしょうか?

A2. 痛風発作は通常1日では治まりません。適切な治療をすれば、3〜7日程度で痛みが軽減します。ただし、発作を繰り返さないためには、根本的な尿酸管理が重要です。

Q3. 高尿酸血症は自覚症状がないのに、なぜ治療が必要なのですか?

A3. 高尿酸血症自体には自覚症状がありませんが、放置すると痛風発作だけでなく、腎障害(痛風腎)、尿路結石、動脈硬化などのリスクが高まります。特に尿酸値が9.0mg/dL以上の場合は、痛風発作を起こしていなくても治療を検討することが推奨されています。

Q4. 痛風発作中に尿酸を下げる薬を飲めばよいですか?

A4. 痛風発作中に尿酸値を下げる薬を急に飲むと、かえって発作が悪化することがあります。発作が起きた際は、まず消炎鎮痛薬で痛みを抑え、炎症が落ち着いてから尿酸値を下げる治療を開始します。

Q5. 痛風はストレスが原因で起こることもありますか?

A5. ストレスがかかると、体内のホルモンバランスが変化し、尿酸の産生が増加することがあります。また、ストレスがたまると食生活が乱れたり、アルコール摂取が増えたりすることで尿酸値が上昇しやすくなります。

Q6. 痛風は女性にも起こりますか?

A6. はい。ただし、女性は閉経前までは女性ホルモンの影響で尿酸値が上がりにくいため、痛風になる割合は男性より低くなっています。しかし、閉経後はホルモンの変化により尿酸値が上昇しやすくなり、女性の痛風患者も増えてきています。

Q7. 痛風の痛みが治まったら、普通に生活しても大丈夫ですか?

A7. 痛みがなくなっても、尿酸値が高いままだと再発のリスクがあります。痛風発作を繰り返すと、関節が変形し、慢性的な関節痛や腎障害につながることもあるため、尿酸値をコントロールすることが重要です。

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